スポーツドリンクには2種類ある、血糖値をコントロールするための使い分け
糖尿病専門のクリニックで栄養指導をしていると、
毎年必ずといっていいほど、
炭酸飲料やスポーツドリンクなどの飲料からの大量の糖質摂取が原因で高血糖状態となって受診する糖尿病患者さんがいます。
こんな理由でスポーツドリンクを飲んでいる方が多いです。
・大量に汗をかく仕事で、熱中症が心配
・テニスや登山で大量に汗をかくのでスポーツドリンクで水分補給
・デスクワークでほとんど動かないけど夏だからスポーツドリンクで水分補給
・喉の渇きを感じない高齢の両親の水分補給に
・お茶や水では水分補給がすすまない
スポーツドリンクを飲んだ方がいい時は?
スポーツドリンクを飲んだ方がいいのはこの3つに限定するとわかりやすいと思います。
①1時間以上の発汗量が多い運動時
②下痢や嘔吐、発熱などの脱水時
③熱中症になってしまった時(この時は経口補水液の方がより◎)
普段はこまめなお茶や水からの水分補給が一番ですが、身体の状態や運動内容に合わせてスポーツドリンクを使い分ける事も必要です。
スポーツドリンクには大きくわけて2種類あり、糖質の含まれる量が違います。血糖値を急上昇させないスポーツドリンクもありますので、うまく利用するのも一つの方法です。
水分補給飲料の種類
①ハイポトニック飲料
体液よりも低い濃度の糖分(0~2.5%)、電解質を含む飲料です。人間の体液と比べて浸透圧が低いため、素早い水分の吸収ができます。そのため、運動中や運動後など体量に汗をかき、水分補給が早急に必要な場合には、ハイポトニック飲料が適しているといわれています。ゼロカロリー、低カロリーのものが多くあります。
カロリーなし:アクエリアスゼロ、アクエリアスエスボディ・明治バーム
※血糖値はあがりません。ただし甘味料が沢山含まれていますので、体質によってはおなかが緩くなる事があります。糖尿病の方でどうしてもスポーツドリンクを飲みたい時にはこちらをおすすめしています。
カロリーあり(糖分控えめ2.5%前後):アミノバリュー・アミノバイタル、ポカリスエットイオンウォーター
※血糖値があがります。糖分補給を目的としたアイソトニック飲料よりは血糖値上昇が穏やかです。1時間以上の発汗量の多い運動時に。
高齢の方はのどの渇きを感じにくく、味覚異常などによりお茶や水では水分補給がすすまない場合があります。そんな時には、ハイポトニック飲料をいくつか試してみて好みの味をみつけてみてはいかがでしょう。
②アイソトニック飲料
体液に近い濃度の糖分(4~6%)、電解質を含む飲料です。体液と同じくらいの浸透圧であるアイソトニック飲料は、ゆっくりと水分が体に吸収されます。
飲みやすくするために糖分が多く高カロリーなものが多いです。大量に飲むと糖尿病の人では血糖コントロールが悪化する原因となり、そうでなくとも糖尿病ケトアシドーシスの症状を起こす「ペットボトル症候群」におちいるおそれがあります。
カロリーあり(糖分多い):アクエリアス・アクエリアス1日分のマルチビタミン・ポカリスエット・グリーンダカラ・ビタミンウォーターなど
※血糖値が急上昇します。運動前後の糖分&水分補給を目的としたアスリート用。糖尿病で低血糖時の回復用。
※経口補水液はスポーツドリンクではありません。脱水症の治療の為に開発されたものなので、熱中症になってしまった時や下痢や嘔吐による脱水時に使用します。スポーツドリンクと比べて塩分濃度が高く普段の水分補給としては適していません。
まとめ
スポーツドリンクは、脱水症状のある時や大量に汗をかく運動時に。糖質の濃度に合わせて使いわけをする。
普段はこまめにお茶や水での水分補給が一番。
まだまだ残暑が続きそうです。水分ちょこちょこ飲んで、身体をしっかり潤しましょう♪